彼女の世界が変わらぬ理由


しかし雪が積もりゆくばかりで、暖かい日はなかなか訪れず。

今年はダメかもなと思い始めていたある日。

少女が美術室で、桜を眺めながら泣いていた。

彼女と出会って一ヶ月が経とうとしていたが、少女はこうしてよく泣く子だった。

理由はもちろんわからなかったが、きっとクラスで色々とあるのだろう。

彼女の涙を見るたび、十夜は慰めた。


「また泣いてるの? ほら、また絵描いてやるから泣きやんで」


いつもは絵を描けば涙を止めて、笑ってくれた少女。

しかしその日はずっと鼻をすすっていた。

十夜は困りはて、それ以上何もすることはできずに別れ。

そしてその後、学校からの帰り道で友だちに、


「転入生、引っ越すらしいよ。俺の妹が同じクラスじゃん? 明日で最後なんだって言ってた」


そう聞かされ、それで様子が変だったのかと、十夜は納得した。

そして十夜は、気づけば学校へと引き返していた。