中村は顎を撫でながら口を開いた。
「それはどういう意味ですかな?」
「なかったことにしてほしいんです。その…美大生の人の絵、良いものなんでしょう? それならその方の絵を、そのまま評価してあげてください」
「盗作であることに目をつむれと?」
「盗作なんかじゃありません。あの絵は元々…十年も昔に子どもが描いた絵です。子どもが趣味で描いた絵を参考に描いたとしても、それは盗作にはならないでしょう?」
それでも問題があるのなら、マリアが問題の絵を見て「これは盗作ではない」と言えばいい話だ。
中村は表情を和らげ、ため息をついた。
「あなたのお気持ちはわかりましたが…。さて、困りましたね」
中村は飛田に同意を求めるように目を向ける。
飛田は頭をかいて頷いた。



