彼女の世界が変わらぬ理由


ただ自分の浅はかさに笑いたくなった。

いつかあの少年がマリアの絵を見たら、何らかの返答があるかもしれないなんて。

とんだ夢物語だ。

盗作が、彼からのメッセージだなどと考えるなんて。

サンタクロースを信じる年でもない。

大学受験を控えた女子高生だとはとても思えない。

ばかばかしさすら感じてきた。


「あはっ」

「マリアちゃん…?」

「ははは…っ」


なんだかもう、たまらなくて笑い出した。

結局はそういうことだったのだ。

希望の橋は、向こう岸にはかからず。

夢みる乙女は夢から覚めて、大人になる。

よかったのだこれで。

きっぱりと、絵をやめられそうだ。


「すみません。…ありがとうございました」

「柚木くん?」

「あたしのあの絵は、出展されなかったことにしていただけませんか?」


笑いをおさめたマリアが言うと、中村はひょいと眉を上げた。