彼女の世界が変わらぬ理由


すまない、と飛田は言った。


「その盗作をしたと言っている相手は、僕の生徒なんだ」

「…生徒?」

「大学で、たまに臨時で特別講師をすると前に話しただろう? 相手は美大の学生で、僕の講義を聴いていたらしいんだ。その時に講義の題材にしたのが…」


マリアから借りた、彼女の絵だった。

その絵を見て、その美大生は盗作をしたらしい。

いや、きっと盗作をするなどという気持ちはなかっただろうとマリアは思った。

盗作されるほど、出来た絵ではない。

なぜならマリアの絵自体が盗作のようなものだからだ。

きっとなんとなく似たような絵を描いてみようとして、それがよく出来てしまったから、コンクールに出そうという気になっただけなのだろう。

責める気は、微塵もない。