彼女の世界が変わらぬ理由


「ちょっと待って下さいっ!!」


入ってくるなりそう叫んだのは、美術室で待っているはずの安東だった。

あのつぶらな瞳を鋭くさせて、彼女は中村を睨みつける。


「いまの話、どういうことですか!?」

「安東さん、聞いて…?」

「マリアちゃんの絵が、真似っこだって言うんですか!?」

「ちょ、ちょっと…」

「そんなのありえません!」


安東はツカツカと部屋の中心まできて、バシンとテーブルを叩いた。

普段のんびりとしていて穏やかな彼女にしては、珍しい。


「マリアちゃんは盗作なんてしてません! 去年もあの絵で賞もらってるんですよ!」

「安東さん、ちょっと待って」

「待てないよ! ひどいよこの人!」


安東に指をさされ、中村は苦笑いをする。


「お嬢さん。私は何も、彼女が盗作したとは…」

「…しました」


中村の声を遮り、マリアは言った。


「盗作をしました」

「マリアちゃん!?」


驚く安東、飛田の視線を受けながら、マリアは毅然とした顔で、中村を見据えた。

中村は目を細める。


「あなたが、したと?」


問いかけに、マリアは頷くように静かに、瞳を閉じた。




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