彼女の世界が変わらぬ理由


「マリアちゃん、体育館行かないの? ダンス始まるよー」

「ダンスなんて踊れないわ」


マリアはまともに男と手を繋いだこともない。

安東は唇を尖らせた。


「ダンスの後は告白タイムなのにィ」

「なおさらあたしには関係ないでしょ」

「あるよ! マリアちゃん、人気あるんだから!」


何の冗談だとマリアは笑った。

人気があるのは安東の方だ。

孤独なマリアと違い、彼女は明るく優しく朗らかで、男女に関係なく好かれている。

非常に男子からの告白が多い安東がダンスに行かないと、悲しむ生徒が増えるだろう。


「あたしのことはいいから、行きなさいよ」

「ううん。マリアちゃんが行かないなら、あたしも行かない」


安東はそう言い、飾られたままの作品を眺める。