彼女の世界が変わらぬ理由



芸術家の考えることは、やはりわからない。

凡人には理解出来ないということなのだろう。


「すみませんが…」


お断りします。

マリアは箸を置いて頭を下げた。

少し前にこの話をもらっていたら、きっと承諾しただろう。

以前に絵を貸した時も、メリットがあったからOKした。

けれどもう、いいのだ。


「あの絵はすべて、処分するので」

「…処分?」

「もう絵は描きません。あと一枚を最後に、やめるんです」

「それは、なぜ?」


飛田が眉を寄せ、非難するように訊いてくる。


「まだキミは、自分の才能さえ隠したままなのに」

「才能なんてありません。…絵はもう描かない。だからアシスタントも出来ません」


ごめんなさい。

もう一度深く頭を下げると、飛田は何も言わず、ため息だけを吐いた。



-----
--