彼女の世界が変わらぬ理由


飛田がどうしてそんなに自分を気にかけてくれるのか、マリアにはちっともわからなかった。

才能があるわけではない。

愛想もないし部員と仲良くも出来ていない。

同じ絵しか描かない問題児なのに。


「返事はすぐでなくて構わないよ。…ああ、それからもう一つ。これは頼みなんだけれど」

「頼み、ですか?」

「ああ。前に柚木くんの絵を借りただろう? 来月また数点、貸してもらえないかな」

「…何に使うんですか?」


確か前は、講義で使いたいということだった。

飛田はこの学校以外にも、美大で臨時講師をしているのだ。


「僕の個展があるんだけれど、キミの絵も展示させてほしいんだ」

「個展で、あたしの絵を?」

「そう。紹介させてほしいんだ」


強く言われ、マリアは戸惑い、目を伏せる。