彼女の世界が変わらぬ理由


限界はとっくに見えていた。

才能のなさなど、誰よりもわかっていた。

これ以上続けていても、マリアの絵はもう成長は望めず、評価を受けることもない。

引き際だ。


「次の全国展で、最後にする」

「引退するの?」

「部活だけじゃなくて。絵もやめるわ」

「ええっ!? な、な、何で!!」


慌てて立ち上がる安東に、マリアは肩をすくめた。


「もう意味がないから」

「意味って…。だってマリアちゃん、美大行くんじゃなかったの?」

「美大? あたしが? 冗談でしょ」


たしかに美術部の三年生は、マリア以外みんな美大を目指している。

それぞれの受験に備え、去年から実技の対策にも取り組んでいる。

マリアだけが、一般の大学を進学する予定だ。