安東は膝を下ろし、真面目な顔をしてマリアを見る。
「最近マリアちゃん、元気ないし…」
見た目に反し、安東はなかなか鋭い。
いや、人をよく見ているということだろうか。
マリアはため息をついた。
「別に賞が欲しくなかったわけじゃないよ。じゃなかったら、コンクールに出展なんかしない」
「あ。そっか」
「だから部活に入って、絵を勉強する場所も手に入れた」
合宿やミーティングなど、慣れない集団行動にも耐えた。
すべては賞の為。
その為には高い評価を得なければならない。
高い評価を得る為に、技術を磨かなければならない。
「でもね…認められたいわけじゃないの」
「それって、どういう意味?」
首を傾げる安東に、マリアは珍しく微笑みを見せた。



