彼女の世界が変わらぬ理由

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昼休み。

講師も不在の、ひんやりとした涼しい美術室。

授業以外の時間を、マリアはいつもここで過ごす。

絵を描く以外、やることがないのだ。

絵具と油で汚れたエプロンをかけ、オイルを調合していると、そばにいた友人が鼻歌を歌う。

目をつむりながら、イスの上で膝を抱える少女。

同じクラスの、安東ヒカル(あんどうひかる)。

彼女の小さな耳にかかるイヤフォンから、わずかに音楽が漏れていた。


「安東さん。音下げて」


そう注意したが、相手には聞こえない。

安東は可愛らしい唇を動かし、ご機嫌な様子。


「…安東さん」


マリアはやれやれと、イヤフォンを片方だけ、彼女の耳から外した。


「ん? なに、マリアちゃん」


安東の丸くて大きい、小動物のようにつぶらな瞳がマリアを見る。