彼女の世界が変わらぬ理由



飛田はなぜか、マリアの絵に関心を持っている。

決して高い評価を得られるような作品ではない。

ただ十年変わらずに描かれ続けているだけの絵。

技術だけは向上していても、ただそれだけの、平凡な絵。

なぜ同じ絵ばかりを描くのか。

マリアを変わり者と呼ぶ大勢の人間と同じように、飛田もそれを気にしているだけだろう。

それでも彼は、「なぜ同じ絵を描くのか」とは訊いてこない。


「他の絵は描かないのかい」


とは前に訊かれたが。

マリアはNOと答え、それで終わった。


「次のコンクールには、その絵を出すのかな」

「…そのつもりです」

「そうか。…この辺、少し赤が強いな」


飛田は真横に立ち、真剣な顔で絵を見る。

マリアは一度、手を止めた。