「じゃあ私のいつも行ってるお店でいい?」

マリさんがタクシーで向かった先は意外にも葵の家から近い場所。



繁華街からは一本外れた場所。

「star night」そう書かれた看板が見える。




「スターナイトってお店でホストなんだけどね♪ここに彼氏がいるんだ♪」



幸せそうに話すマリさん。


酔ってた私はホストには行っちゃダメ!そんな警告すっかり忘れてしまっていたんだ。




とあるビルの地下へと降りていくと重そうな扉がある。

中からは騒がしい声。


「来たよ~!!」


慣れた手付きで扉を開け中に入っていくマリさんに続いた。



もちろん初めてのホストクラブ。



真ん中に作られたダンスホールを囲むように並べられた机。


1人のホストに案内されその一つに座った。


「彼がツカサ!カッコイイでしょ??」



マリさんの彼。



見上げるとくしゃっと顔を崩して笑う。確かにカッコいい人。


緊張しながらアタシも頭を下げる。


マリさん……騙されてるんじゃないのかな??


そう思ったけど、今までに見た事ない嬉しそうな笑顔を見てしまうと何も言えなくて。



その時、後ろから声がした。