恋箱。




その日の夜。



ケンと逃げようと思ったときに買い漁った求人誌をふいに見直した。



もっとお金のいい仕事!



いくら親が厳しくなくなったとはいえ年頃の娘が毎晩深夜に帰ったりしたら怪しまれる。



無数に散らばるキャバの広告は魅力的だったけど現実的に働くのは無理……。




なんたってタバコやお酒も親の顔が曇るから隠すようにしてたぐらいだもん。




それに葵の家から繁華街に出たとしたら……終電の問題もある。



求人誌に載ってるような時間だと帰ってこれなくなる可能性もある。




とりあえずは移動手段かぁ……。




季節はいつの間にか初夏になってた。




目標はあと1年半以内に一人暮らし!!密かにそう決めた。