恋箱。



「小木さんいる??」



慣れた手つきでドアをあけるママ。


小木さん、そう呼ばれた人は髭とサングラスが印象的でなにより優しそうだった。


まさか業界では知らない人はいない有名な人だなんて知らないアタシも頭を下げる。



「あやちゃんだね、写真では見たことあるよ。さぁ入って!」



促されるままにその大きな家へ入った。



「じゃあ宜しくお願いします。」



振り向くと、ママが帰ろうとしていた。



え??



「ママも一緒じゃないんですか??」


「アタシは仕事があるから帰るわ。大丈夫♪小木さんに任せておけば安心だから!!」



知らない人と二人取り残されて……知らない土地で、不安が溢れる中、撮影の仕事はスタートした。