恋箱。




数秒後。




「良かったじゃん~!!!そっかぁ」


何かを思案しながらいったんカウンターを離れる川口。


戻ってきたと思ったら瓶ビールを2本前に置いてこう言った。



「今日はお祝い!これ奢るから!!鶏ポンも大盛にするよ♪」


「やったー!!!」



そんな他愛もない会話とノロケで盛り上がっていたら、店内に一人の男の人が入ってきた。



だけど……。



無反応な川口。



「ちょっとっ、お客さんじゃないの??」



慌てて聞くアタシに事も無げに川口が呟く。


「あ、あいつ新人なんだわ。」



川口が週末だけ出て来る河野君以外に人を雇うなんて珍しい。



そういや人増やしてイベントとかやろうかなって言ってたっけ??このままじゃヒマで潰れちゃいそうだもんね。



従業員口、と言ってもアタシも掃除を手伝うトキにはよく出入りしてるカウンターの裏の扉を開けて新人だと言う彼が入ってきた。




まさかこの人が更にアタシの人生を変えるなんて知らずに。




従業員と常連客。至って普通の出会いだった。