溢れる涙を必死にこらえながら言った。
言う、と言うよりは泣き叫ぶ感じだったと……思う。
「私ケンの子供を妊娠してます!」
だから
だから
話をさせて欲しいんです!!!
願いはそれだけなんです!!!
必死に伝えたアタシ。
お母さんが電話の向こうで息を飲むのがわかった。
「それ本当なの??」
「……本当です」
「と、とにかく替わる事は出来ないから」
一方的に……電話は切れた。
ケンに何か言うつもりだろう。
やけに焦った声だった。
手の届かないところでケンが洗脳されて行くようで怖かった。
あんなオンナと付き合うから。そう言ってる姿が容易に想像できる。
重い体を引きずって電車に乗り、アタシも家に帰った。
これから待ち受ける出来事も知らずに。



