恋箱。



その月。



……1月の半ばを過ぎても葵の生理は来なかった。今まではきっちり30日おきにブルーな日があったのに。



心当たりが無いと言えば嘘になる。



だけど



好きな人に触れたい。




嫌われたくない。




自分だけのモノにしたい。




そんな欲求には勝てなくて……アタシは迷う事無くケンに体を差し出していた。







大好きな人とのコドモ?





嬉しさよりも恐怖心が先だった。

2月生まれの葵はこの時まだ15歳……。




二人ともまだ学生。




どうしていいのかわからなかった。




この頃、ケンの親は私との交際を反対してたね。

真面目だったケンが私のせいでダメになったとか、そんな理由で……。




もちろんそんな事で別れたりはしなかったけど、優しいケンは親にも逆らえなかったんだ。


毎日デートしてた頃とは違って親に気を使い早く家に帰るようになっていた。





毎日の通学だけは相変わらず一緒。






ケンの隣に座っていたアタシはそっともたれるように身を寄せ、重い口を開いた。





「ケン、あのね……生理が来ないの」





一瞬、ケンの顔がこわばった……ような気がした。