紅が黄色い声をあげてる女達に無邪気に手を振ると、また甲高い煩い声があがった。
うぜぇ…マジうぜぇ…紅のやつ、余計なことしやがって…!
ていうか馬鹿騒ぎするだけの馬鹿な奴らなのになんで人気があるんだよ
しかし、当の本人達は気にもせずに俺に話しかける。
「そうだ!おいハルキ!これ持ってきたぞ!」
「頼まれたもの持ってきた」
「この地域の伝説だ」
ああ、そういえばそうだった。
学校の図書室にそんなんがあるって言ってたから頼んだんだった。
「おお、サンキュ」
この辺りの図書館全部調べた事があった。
もしかしたら、雪の事が分かるかも知れないから。
雪が妖怪になった理由を、優しい雪が人を恨む原因になった過去を、俺は知りたい。
雪は、気になるなら調べれば?の一点張りだし…
だけどこうやって地元の民俗童話本に書いてあるのは、いつもいつも雪が悪役に書かれていてなんか腹立つし。
無駄に分厚いページをパラパラと捲ると、やっぱり、『雪女』と書かれた項目があった。
「あった!ゆきんこあっただ!」
「破り捨てる?焼き捨てる?」
「なんて書いてある?見せろ見せろ」
蒼の問題発言を無視して、翠に本を渡す。
「どれも変わらねーよ」
醜い雪女が人を殺して、勇ましい青年が果敢に退治し村の長になる、ため息が出るほど正義感溢れるよくある昔話。
…雪は絶対そんなことはしないのに。
人里に近付く事すら避けて怯えているのに、人を殺したりなんか、雪は出来ない。理由なしになんて尚更だ。
けど、雪本人に訊いても否定しないのが、余計にくやしい。
雪の抱える苦しみを誰も理解しないまま、ずっと1人で抱え込んであの山の中に囚われ続ける…
そんな事は許さない。
例え雪が望んでいても、雪が苦しみ続けるのを良しとする事なんか、俺は絶対に認めない。
「…続き、ある」
…え?
「なんだって?翠」
「続き、持ってる」
翠はそう言うと、バッグの中から古くさいボロボロの本を取り出した。
「-おんなじ、菊村って人が綴った後編」
うぜぇ…マジうぜぇ…紅のやつ、余計なことしやがって…!
ていうか馬鹿騒ぎするだけの馬鹿な奴らなのになんで人気があるんだよ
しかし、当の本人達は気にもせずに俺に話しかける。
「そうだ!おいハルキ!これ持ってきたぞ!」
「頼まれたもの持ってきた」
「この地域の伝説だ」
ああ、そういえばそうだった。
学校の図書室にそんなんがあるって言ってたから頼んだんだった。
「おお、サンキュ」
この辺りの図書館全部調べた事があった。
もしかしたら、雪の事が分かるかも知れないから。
雪が妖怪になった理由を、優しい雪が人を恨む原因になった過去を、俺は知りたい。
雪は、気になるなら調べれば?の一点張りだし…
だけどこうやって地元の民俗童話本に書いてあるのは、いつもいつも雪が悪役に書かれていてなんか腹立つし。
無駄に分厚いページをパラパラと捲ると、やっぱり、『雪女』と書かれた項目があった。
「あった!ゆきんこあっただ!」
「破り捨てる?焼き捨てる?」
「なんて書いてある?見せろ見せろ」
蒼の問題発言を無視して、翠に本を渡す。
「どれも変わらねーよ」
醜い雪女が人を殺して、勇ましい青年が果敢に退治し村の長になる、ため息が出るほど正義感溢れるよくある昔話。
…雪は絶対そんなことはしないのに。
人里に近付く事すら避けて怯えているのに、人を殺したりなんか、雪は出来ない。理由なしになんて尚更だ。
けど、雪本人に訊いても否定しないのが、余計にくやしい。
雪の抱える苦しみを誰も理解しないまま、ずっと1人で抱え込んであの山の中に囚われ続ける…
そんな事は許さない。
例え雪が望んでいても、雪が苦しみ続けるのを良しとする事なんか、俺は絶対に認めない。
「…続き、ある」
…え?
「なんだって?翠」
「続き、持ってる」
翠はそう言うと、バッグの中から古くさいボロボロの本を取り出した。
「-おんなじ、菊村って人が綴った後編」
