ゆびきり

私にはないものをたくさん持っている梨由が、とても羨ましかった。



私も誰かに存在を認めてもらいたい。



でも、私には何もないんだ。それが痛いほど解るから、切なくなる。



「ははは…、でも、それは詩人として認めてもらえただけだって、あとで痛感した。詩織が現れるまでは、よかったの…」



梨由の顔が険しくなる。詩織は恋のライバルだと聞いた。



いったい、何があったの?いつも温厚な梨由がこんな表情をみせるほどの出来事。