誰もあたしを見て、
挨拶などしない。


みんなわかっているから。
あたしが慎哉への想いに
浸り、笑わなくなり、
人と関わることをしなくなった理由を。

みんなほっといてくれるんだ。
それがとても、とても、
ありがたかった。


HRの時間になり、
いつも通り、形だけは
先生の話を聞こうと
イヤホンを外した。