そう言った途端、別のワイバーンが隊員に迫る。


背後から迫っているから、隊員はまだ気づいていないのだろう。


その距離、わずか、数十メートル…


これは、今、隊員が振り返り魔法を出しても、間に合わない…


あたしが魔法を使うしかない。


「"クラ…」

「"クラッシュ"!」


隊員が振り返り、そう言った。


その瞬間、ワイバーンは跡形もなく消えてしまった。


間に合わないと思ったのに…


「…さすが」

「だろ?」

「ワイバーンのこと、気づいていたの?」

「当たり前だろ?」

隊員はニカっと歯をだして笑った。

…まったく、もう。

「ハラハラさせてくれるね?」

「俺たちを誰だと思ってんだ。

そう簡単にやられてたまるか」


そう言って笑った。