空を飛んでいたワイバーンがこちらに気づいて迫ってくる。凄いスピードで。


でも、あたしは何もしない。

あたしはあんまり魔物達を殺したくはないんだよ。



「由良!」


隊員があたしの名前を叫ぶ。



…だから…


「大丈夫なんだってば」


あたしは溜息をついた。


皆して心配性なんだから…


さっと杖を空に掲げて詠唱する。


「"アイスグラウンド"」


創りだした氷がワイバーンを包む。


そのままワイバーンは落下した。


ドゴオォォン…


すごく大きな音がした。



大ダメージを受けたとは思う。


でも、この程度の攻撃で死んでしまうワイバーンではない。そうでしょう?


あたしは、落下したワイバーンに近づく。


全身を氷に包まれて、本当に寒そう。



「由良!?」


隊員がまたあたしの名前を叫ぶ。


「…自分のことに集中していないと死ぬよ?」


あたしが冷たくそういうと隊員は青ざめた。