「由良、もうこのことは気にする必要がなくなったからな」

「そうだよ。由良が来てくれて、おまけにこの傷を治してくれた。それだけで俺らは充分だから」

これでまた存分に仕事ができるんだからね、と優しく微笑まれた。



…なんて優しいんだろう…

あたし、治癒することくらいしかできなかったのに…


申し訳ないという気持ちが心を支配して、みんなの顔を見ることができない。

俯いてしまう。


「由良、しっかりしろ。いつものお前らしくねぇじゃねーか!あ?いつもの堂々としたお前はどこいった!」

ついに怒られた。しかしそんなこと言われても、無力で不甲斐ないんだもん…

俯いてしょぼんとしていると、また別の隊員が言った。

「そんなに怒らなくても…と言いたいところだが、こいつの言う通りだ。

状況を考えろ。今は任務中だろ?だったらしっかりしろ。これ以上怪我人を出すわけにはいかねーだろうが。

私情は捨てろって当主がいつも言ってるだろ。いいか、思い出せ。俺達は誇り高き"ガーネット"なんだ」


頭をガツンと殴られたような感覚がした。そうだあたしは"ガーネット"なんだ。今まで何をウジウジとしていたんだ。

集中しなきゃ、あたし…!


あのねぇ、と別の女隊員が話しかけてきた。

「何をしなくたって、由良がいてくれれば、それでいいのよ。あたし達はそれで充分なのよ」

「え…?」


どういうこと…?


「お前が、お前の存在が、俺らに元気を与えるんだよ」


太陽に負けないくらい眩しい笑顔がそこにあった。