「あんた、何してたのよ」

美玲の声色が変わる。

同一人物かと疑いそうになるほど。


「あ?」

柏木君も不機嫌だ。


「あの熱湯を避けられなかったら、あんた今頃死んでたわよ!?」

「………」

不機嫌そうな顔をしてはいるが、本当のことなので何も言い返せないらしい。


「由良に感謝しなよ?」

「…あぁ」


柏木君の顔が急に真っ赤になった。

え?どうしたの?


「どうしたの?顔真っ赤だよ?」


熱が出たのかな?風邪引いた?


「な、何でもねぇ…!」


顔を覗き込むと、プイっと顔を背けられた。



美玲は「ふーん、そういうことか」とニヤニヤした。

柏木君はそんな美玲に向かって「うっせ!」と叫んだ。


「え?二人とも何の話をしてるの?」

さっぱりわからなくて聞いたんだけど、


「「………」」


二人とも黙ってしまった。



「…鈍感なんだな」

「…そうよ」

「??」


ますます意味が分からなかった。