「本当に…兄弟なの?」

「あぁ。それに、こんなところで嘘ついてもしょうがないだろ?」


えーっと…

つまり…


「あたしの、勘違い…?」


力が抜ける。

あたし、勘違いしてたわけ…?


何、それ…

何だかいろんな意味で涙が出てくる。



「で、答えは?」


優しい顔をしている大好きな王子様にあたしが言うことは一つだけ。




「あたしも、好きです」

あぁ、やっと言えた。


「あたし、翔太の隣から離れる気なんてないからね!離れろって言われても、ぜーったいに離れてやんないんだからね!」


大きな声で宣言するあたしに、翔太は不敵に微笑んだ。


「俺だって離す気ないから」


その顔を見ながらあたしは確信した。


翔太が隣にいてくれるなら、あたしはどんな困難だって闇だって、きっと乗り越えられる。

ううん、乗り越えられないはずがない。

翔太が隣にいる限り、あたしは無敵なんだから。


そして翔太の隣にいるときだけは、家の事情も全部取っ払って、ただの女子高生"神崎由良"でいられる。女の子でいられる。


だからきっと、翔太となら幸せでいられるよね?


「当たり前だ。俺の隣に由良がいてくれるなら」


翔太は優しく微笑んで、あたしを引き寄せた。


そしてあたしに優しいキスをくれた。




            fin.