「俺、由良が好きだ。
ずっと、好きだった」
「え…?」
頭は完全にフリーズした。
「ちょ、ちょっと待って!翔太には楓花さんがいるでしょ?婚約までしてるんでしょ?」
そんなの冗談キツイよ、と笑っていると、険しい表情をしだした。
「何、言ってんだ…?」
何言っているんだ?だって?
「こっちのセリフなんですけど」
彼女いるの、あたし知ってんだからね!?
浮気相手は勘弁だ。
「…お前…あいつのフルネーム、分かるか?」
楓花さんのフルネーム…?
そういえば知らないかも…
すると翔太は魂が抜けたような顔をしていた。
「…そうだよな。お前のことだもんな。だと思った。知ってるわけがないな」
「そこまで言わなくても良くない?」
あまりに酷いと思う。
「あいつのフルネームは柏木楓花。俺の実の姉だ」
「は?」
い、いやいやいやいや。
そういう冗談はやめようか?
だって、婚約だって…
「まず婚約なんかしてないし、その前に俺たちは兄弟だっつーの」
はぁ、と盛大な溜息をつかれた。