「我がなぜ魔力を増幅できたのか、知りたいようだな」

「!」

サファイアはニヤっと気味悪く笑った。


全然…分からなかった。

まさか、あたしが心を読まれていたなんて…

考えてすらいなかった。心を読まれている感じは一切なかった。

それに、リラックスして気を許している時ならともかく、こんなにも気を張っている場面で心を読まれてしまうなんて…

相手との魔力の差が大きくなればなるほど、心は読みやすくなるという。


そうなら…今回あたしが心を読まれたのはサファイアの魔力が強すぎるから?

それとも…
あたしが半分以上の魔力を失ったから?


いや、今はどちらでもいい。原因をあれこれ考えている暇はない。

とりあえず今は、心を読まれないようにすることが先決だ。

もし戦っている最中に読まれれば圧倒的に不利になるのは目に見えている。

それに…サファイアの場合、いつ自分の心が読まれているか全然分からない。


「"プロテクト・マインド"」


あたしは誰にも聞こえないほど小さな声で、あまり口を動かさないように魔法をかけた。おかげでサファイアには気づかれなかった。


これで、もうあたしの心は読めないはず。


だけど、油断はならない。

この恐ろしく強い魔力の前では、誰もが無力なのだから。

無論あたしも、だ。