皆に緊張が走る。

いくら予想していたとはいえ、実際に会うとその凄い迫力に気圧されそうだ。


この空気感に取り込まれないように、一度深呼吸をした。


改めて翔太…もとい、サファイアを見た。


夜空のような濃紺のサラサラな髪の毛に、同じく冷たい色をした瞳。

健康味を欠いた青白い肌。

ニヤリと不気味に笑った顔。

身に纏う雰囲気からは優しさや温かさは感じられず、まるで氷のように冷たい。

それに、この重く冷たく、ほとんどが闇の要素で構成されている魔力…


こんなの…翔太じゃない…

いつもの翔太とは違うその姿に、あたしは少し戸惑ってしまった。

不健康そのものである翔太の様子に、心配のせいか恐怖のせいか、心拍数が増加していく。


いや、ちゃんと分かってる。

これはサファイアなんだ。

翔太じゃない。

落ち着かせるように、何度も心に言い聞かせた。


それにしても…

一体どうやってこんなにも凄まじい程の魔力を蓄えたのだろう…


翔太の誕生日パーティの時のサファイアは、こんなものじゃなかった。

もっと、魔力は小さかった。

もっと、光の要素を含んでいた。


それなのになぜここまで魔力を増幅させることができたの?

それも、闇の魔力を…