「開けてもいいよね?」


皆の反応を見るため、あたしは振り返る。

まぁ、駄目って言われても開けちゃうけどね!


美玲は不安と緊張が入り混じった表情をしていて、雅人は切らした息を整えていた。

千沙さんは呆れを隠すことなくあたしに言った。


「由良さんのことです。どうせ周りがいくら駄目だ言ってもご自分が思うままに実行してしまうおつもりなのでしょう?

…どうぞ、由良さんの思うままに」


ハァと盛大な溜息をついた千沙さんに、あたしは苦笑することしかできなかった。

さすが千沙さん、よく分かっていらっしゃる。

そこまで分かってくれているのなら、お言葉に甘えてしまおう。


「開けるね」

皆が頷いたのを確認してから、あたしはできるだけゆっくりとそのドアノブを回した。


その瞬間、ドアの隙間から凄まじい風が吹いてきた。

思わず腕で目を覆った。


何?この邪悪な気配…

この恐ろしいほど強大な魔力は…


目を開けると、そこには









「…待っていたぞ」




「…サファイア…」






あたしの大好きな人の意識を乗っ取った、"ガーネット"の敵がいた。