あの頭痛は、一種の過剰反応だと思う。確か前に何かの本で読んだとこがある。

あたしが推測するに、これは無意識のうちにサファイアの発する魔力を探ろうとしたあたしの魔力が、あまりにも強大なサファイアの魔力に過剰に反応したことで起こった。

その原因としては、あたしの魔力とサファイアの魔力の差が大きく開いていることにある。


やっぱり、あの時魔力を失ったことは大きかったかもしれない…

あたしがあの時、あの魔法に対してもっと素早く対応していれば…


チクリと胸が痛んだ。


あ、あの隊員達は無事なのかな?

皆、生きてるよね?酷い怪我なんてしてないよね!?

不安のせいか、鼓動が速くなる。


って、いけない。


今は、何をするべきか、これからどうするべきかを考えるのが優先だ。

もう終わってしまったことだ。過去のことをあれこれ話していたってしょうがない。

隊員達のことも…きっと全員無事だと信じてる。皆簡単にやられるような弱い人達ではないんだから。

一度、落ち着こう。


あたしはゆっくり深呼吸した。


今あたしは何をしなくちゃいけない?

サファイアを見つけることだよね。


大丈夫。まだ微かに感じるこの魔力を辿れば、きっとサファイアの元へ行きつけるはず。


あたしはもう一度気配を辿るために集中しなおした。


…こっちか。




あたしは一番魔力が強いと判断した、扉の方へと歩いた。


「ゆ、由良さん!」


千沙さんと美玲は慌ててあたしの元へ駆け寄る。


「ちょ、ちょっと待ってって!」

雅人は楓花さんをおんぶした状態で、二人より少し遅れてなんとか追いついた。