「ん?」

何だろう、この感じは…


その発生源を探すと、目の前の扉だった。


ここかな?

ここから感じる。

何ともいえない、嫌な予感を…

そして、サファイアの魔力にも似た、この感じ…


何とは断言できないけれど、絶対何かあるよ。


「この部屋…」


そしてあたしは扉に釘付けの状態になった。


「由良?どうしたの?」

美玲があたしに近づいてきた。


「…この扉、何かおかしいと思わない?」

「特に思わないけど…?」

うーん、と美玲は首を傾げた。


美玲は何も感じないのか。

じゃあ、これはあたしの気のせいなのかな…?



いや、違う。

気のせいなんかじゃない。

確かに感じる。

ここ、絶対おかしいよ。

何か、あるはず…



「どうかしました?」

千沙さんの声があたしの遥か前方から聞こえる。

どうやら雅人と先を急いだらしい。


「何か由良が感じるって言って…

でもあたしは何も感じなくて…」

千沙さんも雅人も、特に何も感じないと言った。


おかしいと思った人ってあたしだけ?

えー、何か孤独…


「入ってみようか」

あたしが提案すると


「由良さん、正気ですか?それこそサファイアの罠なのではないですか!?」

しっかりしてください、と千沙さんに怒られた。


確かにそうかもね。

罠である可能性も高い。