この広い豪邸のどこにサファイアがいるんだろう…

みんなで必死に探しているけれど、一向に見つからない。


まるで何かを警告するような、この胸のざわつきの正体はなんだろう…

何だか、嫌な感じがする。

さっきから、ずっと感じているんだけど…


「こっちからの方が強いですね」


千沙さんの言葉でハッと前を向くと、あたし以外の3人があたしの数歩先を歩いていた。

そして、千沙さは指をさしており、その方向は、前。


確かにそうだ。千沙さんの言う通り。

前方から強い魔力を感じているのは確かなことで、それに関しては間違いなどない。


だけど、胸のざわめきが止まらない。

ちょっと上手くいき過ぎている気がする。


こんなにも強い魔力なら、誰だってその魔力を辿って持ち主のところまで行くことは容易にできる。

あたし達にできないはずがないことはサファイアだって知っているはずだ。

それに異常に強い魔力を抑制せずにいるなんて、自分の居場所を教えていることと同じことだ。

サファイアは、あたし達がここに来ていることは知っているのだから、こんなことをするなんて、何か意図があるとしか思えない。


サファイアなら、放出する魔力を調節することだって容易にできるだろう。

それなのになぜ、魔力を調節しないの?


魔力を放出したままなら、すぐに見つかって、あたし達と戦うことは避けられないのに。