豪華なエントランスを抜け、2階へと続く螺旋階段を上る。

「なぁ由良、こっちで本当に合ってるのかー?お前方向音痴だから…」

後ろから雅人の声がする。


「方向音痴は発揮してないって。こっちで合ってるよ」

間違ってはないと思う。

感じるサファイアの魔力を頼りに進んでいるわけだしね。

それに、いくらあたしでもこんな重要な場面で迷子になったりしないんだから!


「それにしても、凄く強い魔力ね…」

美玲はキョロキョロしながら呟いた。


階段を上るにつれどんどん強くなってきた。

魔力の圧がとんでもない。

一般人なら頭痛を起こして倒れそうなくらいだ。


「由良さん、大丈夫ですか?先ほどの攻撃で、魔力が…」

千沙さんが心配そうに尋ねてきた。

「あたしのことは大丈夫だから。皆は自分のことに気を付けていて」


あたしは笑って返した。


流石千沙さん。痛いところを突いてくるね。

確かに魔力は奪われた。

でもそれは、倒れるほどの魔力を奪われたというわけではない。

今こうして起きていられるのも、あの時隊員達が助けてくれたから。もし助けてもらえなければ、あたしは倒れていただろう。


隊員達には感謝感謝だね。


それに、あたしは何があったって大丈夫。倒れたりしないんだから。

するべきことをするまでは、翔太を助けるまでは、倒れちゃいけないんだ。


自分にも言い聞かせた。