"サファイア"の方々の杖から放出された、鉛色にも似た鈍いその光線は、あたしめがけて一直線に飛んでくる。

嘘、でしょう…?


「由良さん!」

千沙さんの心配そうな声が耳に届く。

「「由良!」」

美玲と雅人の声も聞こえる。


流石に驚いたよ。まさかこの魔法を使ってくるなんて予想だにしていなかったから…

でもね、大丈夫。あたしには、心配なんて必要ないの。だから自分のことに専念していて?



「"シールド"」


薄緑の膜のようなシールドを創り出して光線を防ぐ。


この程度の光線なら心配ないどころか大丈夫。何も問題はない。

だけど、少しだけきついものがある。


それは、"サファイア"の方々が出してきた魔法が、ただの攻撃ではないから。

決して強い攻撃力をもっている魔法ではないけれど、"アブソープション"という魔法は、相手の魔力を吸収する魔法。

これは、デリートやイレイズの魔法で消し去ることはできないし、何かの魔法で相討ちにすることもできない。

だからといってシールドで防御していたとしても、そこから魔力を奪い取られていくんだ。

ある意味最強の、闇系統の魔法なのかもしれない。


「……っ」


ちょっと、由良さんピンチです、ね。

魔力をどんどん奪い取られて、魔力が4分の3しか残っていない。

これじゃ、サファイアと戦うまで持つかどうか…

それに、防御しているままの状態ではまともに攻撃なんてできない。

けれど、"サファイア"の皆さんはこの魔法を止めないだろう。

……あたしの魔力が底をつくまで。



一体、どうすれば…