「由良の言う通りよ。黙って」

美玲は至って冷静だった。

雅人はお怒り状態。


「お前、一体何を考えてんだよ!?」

あまりに大きな声で叫ぶので、あたしは雅人が喉を潰してしまうんじゃないかと少し心配になった。

「別に普通よ」

「異常だ!」

「あら、どこが異常なのか説明して欲しいわね」

…えーと、雲行きが怪しくなってきちゃいましたよ…?

大丈夫かな、喧嘩なんてしないよね?

「女子なのに戦場に行こうとしているところが異常だな」

「どこが異常なのかという説明には一切なってないわよ。

女だから駄目というなら、じゃあ由良はどうなるのよ?

由良だって戦場に行くじゃない!」

由良とあたしのどこがどう違うのよ、と美玲は強い口調で言い切った。

由良はどうなるの、と言われた瞬間心臓が跳ね上がり、同時に肩もビクッと上下に動いた。


「…あ、あの…あたしは、一応仕事ですから…」

消え入りそうな小さな声で言ってみる。


「ほら、由良は仕事なんだよ。それにめちゃくちゃ強いしな。

でもお前は…」

「何?あたしが弱いとでも言いたいの?」

美玲の眉間にシワがよる。

「そういうわけじゃなくて…」

美玲の異変を察知したのか雅人は言葉を濁す。