「…ん」


目を開けると、あたしは寮の自室にいた。

時計は夜中の2時を指している。


帰寮したのが確か8時ごろだったから…

げっあたし6時間も寝てたわけ!?


「通りでよく寝たと思った…」


「だろうな。」

「しょ、翔太…」

翔太があたしの部屋のドアのところに立っていた。

相変わらずの仏頂面で、手には、何かを乗せたお盆を持っている。


「随分とぐっすり寝ていたようだが」

「ご、ごめん…」

全くこのバカが、と罵られると思っていたのに

「…目を覚ましてよかった」

「え…?」

翔太は優しく穏やかに微笑んでいた。


「どう、して…?」

「お前が玄関で倒れた時…ほとんど魔力は残っていないことが分かったし、意識はないし…もう目覚めないかと思った」

「そう、だったんだ…」


それで、目を覚ましてよかった、なんて言ったんだ…

心配かけたんだね…


「家にも連絡しておいたけど…」

「う、嘘でしょ!?家に連絡したわけですか!?」

うわ、絶対怒られる!

お父様の冷酷な顔を思い出して身震いがした。