お父様はあたしをまっすぐ見つめて口を開けた。

「…分かってるな?」

それだけ言った。


でも、あたしにはそれだけで十分だった。お父様が一体何を言いたいのか、そんなことはもう知ってる。


「はい、仕事ですから」


あたしは、お父様の綺麗な真紅の瞳を見据えて答えた。


分かってる。

ちゃんと、分かってるよ。


どんな事情があろうとも、どんな状況であろうとも、あたしはあたしの仕事をするだけ。

学園の皆を、守るんだ。


学園の者一人でも傷つけようものなら、ただじゃおかない。

魔法でもかけようものなら…どんな手段を使ってでも、倒すよ。許さないんだから。

例えどんな事情があろうと、どんな状況であろうと。

学園の皆には指一本触れさせやしないんだから!

心の中で一人拳を突き上げていると、指令が降ってきた。


「サファイアとの戦いに関しては、全てお前に一任する」


「……は、い…?」


あ、あははは!あたしの聞き間違えだよね!

そうだよね!だって、こんなあたしに戦いに関して全てを一任するなんて、絶対にありえないもんね!!

そんなことが起きるのは天地がひっくり返る前触れだよ!


あはは、あたし最近疲れてるのかな?

それとも意識過剰?

あ、昨日のパーティの疲れが残ってるんだね!

だからあんな聞き間違えを…


あはは、恥ずかしいなあもう!