お父様がハッと目を見開いた。

「お前、瞳の色はまさか…」

やっぱり、そこは気になるよね。


「瞳の色は会場に着くとすぐに変えましたので、あたしが"ガーネット"の者だとは誰にもバレていないはずです」

この紅い瞳を持つ者なんてこの世界の中でも"ガーネット"の者だけ。

隊員達もみんな瞳の色が紅いんだ。

"ガーネット"に入るときに交わす契約を終えると、自然と瞳の色が紅くなるらしい。

あたしは当主であるお父様の血を引いてるので、元々紅いんだけどね。


それにこの紅い瞳は、とにかく目立つんだ。

だから、すぐに"ガーネット"の者であるとバレてしまう。


「そうか」

それなら、と安心したように思われた。

「その辺は、自覚があるようだな」

…グサ、と胸に突き刺さったような気がした。


あ、そういえば…

「お父様はパーティに出席なさったのですか?」

昨日のパーティは"サファイア"のパーティ。

いくら外出嫌いのお父様であっても、出席していなければならないだろう。


あぁ、とお父様は思い出したかのように言った。


「招待状は届いていたのだが…やめた」

「…あ、お仕事だったのですね」

やっぱりご当主さんは忙しいよね。大変だなあ~。


そう思って尋ねると、

「…外出は嫌いだ」

予想外。想定外。


確かにお父様は、世界最強の魔物退治屋"ガーネット"の当主ということもあり、世間でも力を持ってはいる。権威だってかなりあるよ。

でも…外出が嫌いだからってそんな理由で大事な大事な"サファイア"のパーティに行くことを辞めてもいいの!?