寮の玄関の前に到着した。

翔太はまだ降ろしてくれない。


「ちょっ…もっもう降ろして!あたし重いんだから!!」

「どこが重いんだよ…軽すぎ」

フッと翔太は笑った。


だー!だからもうそこで笑わないでよ!

心臓が爆発するんだってば!!


「本当に…降ろして」


あたしの心臓が持たない。

翔太を好きになった時から確実に寿命が縮んでいると思う。


「美玲達もいるんだよ!?」

こんなところ見られたら…いじられること間違いなしだ。


「別にいいんじゃないの?」

まるで他人事のように言う翔太。


「良くないってば!」


あたしの抵抗も虚しく

「ただいま」

翔太はあたしをお姫様抱っこしたまま玄関を開けた。


「「お帰りー…って…」」


予想通り二人とも目を丸くした。

と思ったらニヤリと笑った。


嫌な予感…


「二人ともそういう関係なの?」

「あの後何かあったのか?」

「何もねーよ」

「「へ〜?」」

二人はニヤニヤと、翔太はブスっとふてくれている。


「取りあえず、こいつ運んでくるから」

「いや、じゃあ今降ろしてよ!あたし歩けるし!」

怪我したのは手のひらだけだもん!


って…


「「いってらっしゃ〜い」」

翔太は結局降ろしてはくれなかった。


ジタバタと抵抗すると

「動くな」

といつもの数倍冷たい声で言われるので硬直した。