「何?」

首を傾げると怒鳴られた。

「何、じゃねぇだろ!お前その手、どうしたんだよ!?」

「手?あ…」

自分の手を見ると、手のひらから出血していた。

どうやらクリスタルが砕けた時に怪我したらしい。

「大丈夫だから心配しないで」


あたしが微笑むと翔太は辛そうな顔をした。そしてあたしがかけるよりも早く、

「"ヒーリング"」

治癒魔法をかけた。

「…ありが…」

ありがとう、と言おうとしたんだけど、それは翔太に阻まれてしまった。

「この馬鹿が!何で自分が怪我したことにも気付かねぇんだ!」

「ご、ごめん…」

「手のひらなんて怪我して…痛くなかったのか?」

こくんと頷いた。

サファイアのこと考えていたから胸が痛くて、手のひらの痛みなんて…全く感じなかった。


「ハァ…ったくこの馬鹿。

もういい、パーティ終わったから帰るぞ」

「へ?翔太も帰るの?」

翔太は家に帰るんじゃないの?

だって翔太は当主なんだし、忙しいんじゃないの?


「バカ」

「った〜!」

デコピンされた。


「明日は学校があるだろ」

「あ、そっか…」


忘れてた…


大きな溜息を一つ吐くと、

「帰るぞ」

翔太は言った。


「うぎゃっ!?」

翔太があたしを抱きしめた。


「なっなっなっなっ!?」

顔が熱くなる。

思考回路はショート寸前でオーバーヒート。


「うるさい。瞬間移動するだけだから我慢しろ」

翔太は涼しそうな顔をしている。


「だっだからって…」

抱きしめる必要ないよね!?

手を繋げばそれでいいのに…


「"モーメント・ムーブ"」

強制的に翔太と瞬間移動した。