「まぁ、これは由良には言うな!って止められてたんだけどな。言ったら怒るって…」

それは怖いですな…

「でも、言った方がいいわよ」

「まぁ、それは俺も同感だけど…」

また雅人が溜息をつく。

どうやら、本当に怖いらしい。


「二人とも、言ってくれてありがとう」

「翔太には内緒な?怒られたら超怖いから」

雅人は力なく笑った。


翔太が、そんなことをしていてくれたなんて知らなかったよ…

付きっ切りで看病してくれてたなんて…

それも、学園まで休んで。


何してんのよ…

翔太はただ学園に行って楓花さんと仲良くしてればいいのに。

全く呆れちゃうよ。


だけど、本当のところは嬉しい気持ちが心の9割を占めている。


あたしがただ倒れただけなのに、こんなにも心配してくれて。

"サファイア"のことで疲れているだろうに、夜も寝ないで付きっ切りで看病してくれて。

あたしに"仲間"だって言ってくれて。

あたしの体調に気を使ってわざわざタクシーで迎えに来てくれて。


ちょっとは、あたしは翔太にとって特別な存在じゃないかと思えて、嬉しい。

もちろん、恋愛対象じゃないと分かっている。

それでも、うれしい…


あたしは顔が赤くなるのが分かった。

美玲と雅人は相変わらずイチャイチャしてて、あたしのことはほったらかしだ。

いつもは『ラブラブなカップル』とか思うんだけど、今日は放っておかれているこの状態がちょうどよかった。