キーンコーン―――――――――

放課を告げるチャイムが鳴り響き、あたしは美玲たちと寮に帰ることにした。

教室を出たところで、美玲があたしの名前を呼んだ。


「…翔太には感謝しなよ?」

「え?」


いきなりのことにあたしは戸惑ってしまった。


「それ、言ったら怒られるぞ?」

「まぁいいじゃない♪」

「俺、お前が怒られても知らねーぞ?」

雅人は溜息をついた。

「でも、言った方がお互いにいいんじゃないの?その方が…」

「まぁ、確かに…」


二人は謎の会話をしている。


「ど、どういうこと?」

美玲があたしの方を向いた。


「由良が入院したことあったでしょ?」

コクンと頷く。

それがどうしたんだろう?


「…翔太がな…」

「え?」

翔太が…?

「付きっ切りで由良の看病してたのよ。夜も寝ないで、寮や実家にも帰らないで、"サファイア"にも学園にも来ないで、ずーっと。面会時間過ぎても、看護婦さん達にお願いしてまでして、由良のそばにいたのよ」


うそ…

そんなことがあったなんて…


「…知らなかった...」

だって翔太、そんなこと一つも言わなかったのに…!