「別に…」

「あ、怒ってる」

「うるせぇ」


完全に二人の世界。

何で、こんなにも見せつけられないといけないの…?

まぁ二人ともあたしの気持ちは分からないだろうし、当然のことなんだけど…

でも、嫌だ。

あたしは逃げ出したい気持ちを抑えて二人の様子を黙って見ていた。


「で、お前は何しに来た」


翔太は軽く睨んでいる。

本当に不機嫌かも…


「あ、そうだった」

楓花さんはごそごそと鞄から何かの封筒を取り出した。

そして、あたしにそれをさしだした。


「え…?」

「これは招待状です。美玲ちゃん達にも渡してあるから…よかったら来てください」

楓花さんはニコっと笑った。

その笑顔すら悪意がこもっているように見えてくるから恐ろしい。

いけない。もっといい子でいなきゃ…


「ありがとうございます…」


すると少し上から舌打ちが聞こえた。


「お前なに由良を誘ってんだよ」

不機嫌全開な翔太。

怒っている対象があたしではないけれど…怖っ。


それに、あたしを庇ってくれることすら二人の仲を見せつけられているようで、辛い。


「あら、まだ言ってなかったの?」

楓花さんはそんなことは気にせず、笑顔全開で、周りに花が咲いている。


「これから言おうとしていたんだが、お前が来るから」

眉間にしわを寄せる。

「あら、ごめんなさい」

「思ってないだろ」

「ばれちゃった」

「おい」


二人は言い争いもしているけど、なんだかんだ仲良さそう。

そんな仲になれないあたしには、永遠に続く地獄のような時間だった。