それに、その喪失感を味わうことが怖かった。


だけど、翔太や美玲、雅人は違った。


あたしのこと全てを知っても、離れないでいてくれた。

今までと同じように接してくれた。

仲間だ、とまで言ってくれた。


こんなにもあたしは異常なのに…


今回のことは、SC4の皆はそんな大切な存在なんだと改めて気づかせてくれた。

だから、少しだけサファイアには感謝してもいいかな、と思ってしまったりするんだ。


「だから、今回のことは何も気にしないでください」


あたしは笑った。

もう、これで過去を吹っ切ったような気がする。


絶対に離れて行かないって確信できる仲間が、あたしにいるから。


もうあの過去は、あたしの弱みじゃないってそう思える。


「…由良ちゃんは、優しいですね。それにとーっても可愛いし…本当に完璧な女の子ですね」

「…誰がですか?」


楓花さんは瞬きを数回繰り返すと、翔太の方を向いた。

翔太は表情を変えず言った。


「天然で鈍感なんだ」

「なるほど。…大変ですね」

「うるせぇ」

「…貴方怒ってるんでしょう?」

「何が?」

「さっき、遮られたから怒ってるんでしょう?」


嘘…

翔太が怒ってるなんて…あたし全然気づかなかった。


雰囲気も表情もいつもと同じだったから…全然分からなかった。


これが彼女と友達の差なの…?


胸が少し痛んだ。