「気にしないでください。楓花さんが悪いんじゃないんです。

あたしがこんなことで倒れてしまうほど心が弱かったから…だからこんなことが起こったんです。

それに、楓花さんは意識をサファイアに乗っ取られていたんです。

楓花さんは何も悪くないですよ」


あたしは微笑んで答えた。

本当にそうだ。楓花さんは何も悪くなんてない。


「…でも今回のことは、私が意識を乗っ取られてしまうほど弱かったことに原因があります。

私がもっと強ければこんなことには…」

楓花さんは申し訳ない、という顔をしている。


「今回のことは悪いことばかりじゃなかったんです」

「え…?」

楓花さんはキョトンとした。


「こんなあたしにも…頼っていい仲間がいるんだって、気づけたんです。

今回のことがなければ、あたしはこの先ずっと、一人ぼっちだと思い込んで生きていくことになっていたでしょう」


家族のような存在である"ガーネット"の皆は別だけれど。

それ以外に友達や仲間なんて、あたしにはできないと思っていた。

それに、彩ちゃんのこともあって、人と関わることが怖かったんだ。


みんな、離れていってしまうんだとずっと思ってた。


"ガーネット"のことや、あたしの強すぎる魔力のこともあるし、

それにあたしの過去を―――彩ちゃんのことを知ってしまったら、みんな離れていくだろうと思っていた。


実際、あたしの魔力を知って、離れていった人達しかいなかったから――――


そりゃ、相手を怪我させてしまう魔法を無意識のうちに使ってしまったような人だからね。

恐怖を抱くのは当然のことだ。


だけど、やっぱり怖かった。

また友達ができても、すぐ離れてしまうだろうと思うと、怖かった。