「あら、噂をすればってやつかしら」


美玲が向けた視線の先にあったのは、


「………」


無口でこっちを見ている柏木翔太だった。


柏木翔太は、美玲が存在に気づいたと知ると、こっちに近づいてきた。


美玲は、相変わらず無口な彼に構わず話しかける。


「遅かったわね」

「まあな」

「あら、雅人は?」

「その辺にいるんじゃねーの?」


二人とも美形なので、周りの視線は一気に集まる。

周りを確認したわけではないが、空気がそうだ。


まあ、マドンナと天才君だしね?

学園中の注目の的だよね。



そんな二人の傍から少し離れた。


自分に視線が集まるのは好きじゃない。

むしろ、嫌い。



だって


嫌な過去を思い出してしまうから――――