変な汗が出てきて止まらない。

鼓動が、痛い…

記憶がフラッシュバックする。


『ゆらちゃんのせいで…!』

ドクン

『ゆらちゃんなんか』

ドクン

ドクン

ドクン

『大嫌い』

ドクン

ドクン

『怖い』

ドクン
ドクン
ドクン



「由良?」

翔太の声が遠くに聞こえる。


『あやちゃんにケガさせたゆらちゃんなんて大キライ!』

ドクン
ドクン
ドクン
ドクン

『ゆらちゃん、こわい』

あの子の、悲しみと恐怖の合わさったあの顔–––––––––––


ドクン
ドクン
ドクン


「おい由良!大丈夫か!?おい!」

翔太らしき人の声が聞こえる。

「顔が真っ青じゃない!」

美玲の声も聞こえて、答えたいけれど、答えることができない。


鼓動が痛くて、呼吸もままならない。

そして脳内に浮かぶのは、あの子の悲痛な顔とあのセリフ。

『ゆらちゃん、こわい』


息が、できない…

苦 しい…


もう、ダメ……


意識を手放す瞬間、

「由良!」

大好きな人の声が遠くに聞こえたような気がした––––––––––––