「雅人!」

美玲が泣きながら嬉しそうに叫んだ。

「大丈夫だからそんな心配すんな」


雅人は美玲に柔らかく微笑んだ。

女の子が見ればイチコロだろうな、と冷めた目でラブラブな二人を見ていた。


翔太とこんなふうになれたら、と思わないこともないけれど、それはあたしには叶わない夢のまた夢の話。

だから、あたしにできることは、ただ一つ。

翔太の幸せを願うだけ。


それで、いいんだ。

あたしは自分に言い聞かせた。


そうでもしないと、絶対に叶うはずのないことを夢見てしまいそうになる。

翔太と両想いになりたいと、絶対に叶わないことを。


おっと、いけない。集中しなきゃ。

そう思って雅人を見たのと同時に、何かを感じた。


また何か来る…


「"天王星よ また 我に力を"––––––!」

そう言ったかと思うと、雅人はさっきのかっこいい黒髪雅人に変身した。


バチバチと電気の音が競技場に響き渡る。

雅人は腕をスっと持ち上げ、あたしを指差した。

その指の先から、閃光が走る。

これは、おそらく電気系統の閃光だ。


だけど…

この閃光、凄い…

星使いだとは言え、こんなにも高圧力の閃光を、こんな高校生が出せるんだろうかと疑ってしまうほど。


雅人、結構強いね…