すると、その方を取り巻くように生徒の群れができた。


「「「「「楓花(ふうか)様~!!」」」」」

「「「楓花さ~ん!!」」」

「「「「「「お帰りなさい!!」」」」」」


あまりの声の大きさに思わず耳を塞いでしまう。


男女入り混じった大きな集団の中心にいてなかなか見えなかったけれど、人と人の間から少しだけ見えた。


パッチリ二重の大きな目にはまつ毛がびっしりと生えていて、瞳は翔太と同じ澄んだ青空のような美しい青色。

顔は白く透き通っており、ブラウンの長い髪はゆるくふわっと巻かれていてとても可愛らしくも美しい。

鼻は小さくすっと通っていて、かなりの美人さんだ。

スタイルも抜群で、手足は長く細い。

体を構成する全てのパーツが完璧に整っている。

完璧に着こなした制服からは清潔感が溢れ出ている。

温厚で和やかな雰囲気を全面から感じる。

その場にいるだけでパッと周りに花が咲き乱れるよう。

歩くだけで周りの目を引く、美しい人。


こんなにキレイな人があたしなんかと同じ高校生なのかな…?


「学園にこんなにキレイな人がいたんだねー…」

ねー?と翔太の方を見ると、翔太は固まっていた。

瞬きはおろか呼吸すらしていないんじゃないかと思うほどだった。


「翔、太…?」

固まっている翔太の視線の先に目を向けると、楓花さんがいた。


楓花さんもこちらに気づいたのか、美しい笑顔でこちらに向かってきた。



何だか嫌な予感がする。

直感的に感じた。